大雨と山くずれ 必ず起こるがめったに起きない(谷誠)

斜面の水の集まりやすい部分には、土壌層もしくは風化した基盤岩の中に長い年月をかけて自然に排水構造ができていると考えられます(人工的に積まれた盛り土は、効率的な排水が困難なため、熱海で2021年に発生した土石流災害でわかるように、くずれやすく危険です)。大雨があっても速やかな排水によって地下水面が上昇せず、浮力が大きくならず、土壌層はくずれず安定を保ちます。結果的に、雨水は地下水に遮られることなく鉛直方向(真下のことです)に浸透できます。逆に言えば、このメカニズムによって土壌層はたしかに長く安定を保てるのだけれど、500年から数千年に一度は、大雨時に地下水面が上昇して浮力が大きくなり、土壌層は崩壊するということでもあります。